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再)僕の背に口付けを 13

 07, 2011 01:00
光輝がマンションに戻ると千尋と仁が、仲良くソファに凭れながらDVD鑑賞をしていた。
「お前ら何をやっている?」
「あ、お帰りなさい……」
「あ!すみませんっ、気づきませんで、お帰りなさいませっ」

「だから何やっているって聞いているんだ、あぁ?」
「何をそんなに怒っているの?映画観ているんだよ……仁君のお勧めの任侠映画」
「すみませんっ、俺帰ります」
「えー最後まで観ようよ」残念そうな顔をする千尋よりも、怖い顔の若頭の方が仁は気になった。

「いえっ……じゃ又明日来ますんで……失礼しまっす!」
「おう、気を付けて帰れ」
「仁君、気を付けてね」
千尋の声に送られ憮然とする若頭の視線を背に受けて、小さくなりながら仁が帰って行った。

「面白いのか?」
「これ凄いね、本物じゃないんだよね?」
千尋が興味を持ったのは、話の内容よりも色彩豊かな刺青だったらしい。
「体はもう大丈夫か?」労わるように聞いて来る光輝に、千尋は顔を画面に向けたまま「はい」と小さく頷いた。

「そうか……」
千尋は背後から抱きしめられ項に光輝の唇を感じた。
「あ……っ」触れられた箇所が熱い。千尋は、これから起こる事を想像すると体が強張り、そして胸がキュンとしてきた。

「千尋……抱きたい」耳元で囁かれる。
「……うん」そう答えるのが精一杯の千尋だった。
「あ……っ」耳の中に光輝の熱い舌が差し込まれた。ぞくっとする感触に千尋の体が震え熱くなった。後ろから手を回され器用にパジャマのボタンを外され、スルッと肩から落とされた。光輝の指が千尋の胸の小さな尖りを転がすように撫でる。その感覚に千尋の小さな尖りが硬くなってしまう。光輝は両方の尖りを親指と人差し指で挟みながら刺激を与える。
「あっ……やっ……」
尖ってきた粒を今度は掌で転がされている。じんじんする感覚に千尋の口からは甘い溜息が漏れた。

薄く色づいてきた項に光輝が舌を這わし、そしてそのまま背中に唇を落とす。まだ色の出ていない体は陶器のように白く吸い付くような感触だった。だが光輝には見えなくても判る。
「あ……ぁぁ……やっ……」
光輝の手が尻のふくらみを左右に広げた。
「やっ……おねがい……だめっ……」
千尋の願いは光輝を煽るだけなのに、それでも千尋は涙を零しながら抗った。
「千尋……嫌だって言ってもお前のこれは喜んでいるぞ」光輝は揶揄するように、千尋の昂ぶりに手を伸ばした。

「お前は……もし他の男にこんな事をされても、この体は悦ぶのだろうか?」光輝が呻くように呟いた。
「……死ぬから……他の男にこんな事をされたら……僕は死ぬから」千尋がその言葉を吐いた時、千尋の背中の蓮の花が、千尋に同意するように鮮やかな色を付けた。

(死ぬから、他の男にこんな事をされたら僕は死ぬから……)
千尋はもう一度心の中で呟いた。

千尋の言葉を聞いて光輝の動きが止まった。
「俺は……俺は小さい人間だなぁ……」
千尋の覚悟に比べたら何て自分は小さい男なのだろうと光輝は自分を嘲笑った。
「……光輝?」
「千尋……男が守りに入っちゃ情け無いな」光輝は本当に今の自分が情け無くて仕方なかった。

千尋は少し身を起こし、ベッドサイドのテーブルに置いてあった本に手を伸ばした。そしてその本に挟んである用紙を抜いて「見て、これは伯父さんが僕にくれたんだよ『千尋のだ』って言って」光輝はゆっくりとその用紙を広げた。
「これは……」
「そう……僕の竜、見せて光輝の竜を」

千尋の言葉に光輝がシャツを脱ぎ捨てると、千尋はその背にそっと唇を寄せ囁いた。
「ほら、僕の竜が此処にいる……光輝は僕のものだから……覚悟して」
千尋の言葉に光輝はトドメを刺された。
(千尋のこの強さは何処から来るのだろうか?嘗て誰かにこんなに惚れた事があっただろうか?)光輝は千尋の芯の強さと潔さに完敗した気分だった。

「参ったな……骨の髄まで惚れるって、こういう事なのか?」

光輝は、千尋を背中から剥がし胸に抱きしめた。そっと啄ばむようなキスを仕掛けると、千尋の目元が色よく染まる。

さっきまでの潔い千尋とは違うもう一人の千尋がいるみたいだった。意志の強い目は色に染まり、潤んでいる。光輝は千尋の頬を両手で挟み、啄ばむキスを何度も落した。
たったそれだけの事にも情事に慣れない千尋は、恥ずかしそうに俯いてしまう。
「千尋ちょっと舌見せて?」
「えっ?」突然の事に千尋は驚いた顔をあげた。
「何か千尋の舌変だぞ……ほらべーって出してみろ」千尋は少し不安な顔しながら、言われた通り舌をそっと出した。
「あっ!」千尋が恐る恐る出した舌を光輝がぺろっと舐める。そしてそのまま千尋の舌を吸い出すように絡める。
「やあーっ騙した!」光輝はそんな千尋の抗議も聞く耳など持たない。
「ほら、千尋の乳首も変……」
「えっ?」又騙されてつい自分の胸の尖りを見てしまう。

「ほら変だろう?何にも無いぺたんこの胸のくせに俺を狂わせる……」そう囁くと、千尋の胸の尖りを唇で包み込んだ。
「あ……っ」
光輝は唇を押し付けたまま、舌先でころころと転がす。
「やあぁ……ん……ぁぁ」

「ぼ……ぼく変だ、くすぐったいのに、あぁ……やっ……」
「どう変なのだ?」
「あぁ……っ……ぁぁ……だって……きもちいい……」
「全く、どうしてやろうか?俺を煽ってばかりで」
指と舌で胸をいじられて、千尋はもう体が熱くて仕方ない。
「こうき……熱い……体中が熱い」
「千尋俺のも熱いから、触って」そう言って光輝は千尋の手を自分の芯に導いた。

「あっ……」
「千尋……俺のこの熱いのが、お前にキスされたがっているんだけど?」千尋は一瞬光輝が何を言っているのか意味が判らなかった。

「千尋にフェラしてもらいたい」
「フェ、フェラ?」その数秒後に千尋が耳まで赤くした。
やっと要求されている事の意味を理解したようだった。光輝が経営している店の中に風俗店も幾つかあった。光輝は時々支配人に頼まれて新人の味見もしていた。プロの世界だ、フェラが出来ない女は問題外であった。

千尋が片手を添えた光輝の中心をじっと見つめている。その様子は、まるで泳げない子供が、水面に顔を付けるタイミングを計っているかのように見えた。その目に映る姿だけでも光輝の昂ぶりは嵩を増してしまう。
「あ……っ、生きているみたい……」その台詞は同じ構造の体を持つ者の言い草とはとても思えない。

そんな初(うぶ)な千尋を自分の色に染めたい。それを口にすると、千尋が驚いた顔を見せた。「知らなかったの?僕が……もう光輝の色に染められているのを?」などと、のたまう。
その艶かしい目に光輝は体中の毛穴が開くような気分だった。女の体すら知らなかった千尋がその覚悟も無く体を開く筈など無かったのだ。光輝はもうフェラどころじゃ無くなった。
「千尋、今すぐお前と繋がりたい……」そう言うと、千尋の体を引き寄せ、その唇に激しい口付けを落とした。
光輝の抱き方が、征服するようなものから愛しむようなものに変わった。光輝の熱い思いを体で受け止めながら『自分は光輝に愛されている』と千尋は感じていた。
「千尋愛している」と耳元で囁く声は本物だった。

「僕も光輝を愛している」千尋は初めてその言葉を口にした。驚いた光輝の目がやがて、とても愛しい者を見る目に変わった。
「もし僕が光輝の歩く道に邪魔になったら僕を捨てていいから……」
「その言葉をそっくり返してやるよ」
二人の歩く道は、今は違う。それがひとつの道になるのか、なった方が良いのか今の光輝にも千尋にも判らなかった。

どれだけ自分の力で千尋の安全を確保出来るのか?本当はヤクザとなど付き合わない方が良いのが一番なのは判っている。だけど、千尋は堅気の世界でも生きて行くのは難しいのだ。
最後に二人は優しい口付けを交わし、そして静かに眠りに落ちて行った。


次の日光輝は一枚の名刺をじっと見つめていた。
「宝田流星……」あの男の目的が何にしろ、一度接触しない訳には行かないだろう。
「千尋……宝田と会うか?」千尋も光輝と同じ意見だろうと思う。
「……はい」「そうか、じゃ連絡取るぞ」光輝の言葉に千尋は黙って頷いた。

光輝は名刺の連絡先に電話を入れた。
「豊川です」
「首を長くしてお待ちしておりましたよ」
「千尋が会うそうです、場所と時間を決めて下さい」
「千尋ひとりでと言う訳にはいかないでしょうね?」
まるで千尋と光輝の関係を知っているような、意味深な含みがその言葉にはあった。

「勿論、私も一緒です。差し支えなければ弁護士も同席させますが?」
「用件はお判りのようですね。こちらも弁護士が同席します」
光輝は宝田と会う日時を決め電話を切ろうとした。
「あ、ひとつ、あまりヤクザっぽい格好で来ないで下さいよ」
その言葉に光輝は腸が煮えくり返りそうになったが「勿論ですよ、あなたが引き継いだ会社程では無いですが、私も経営者の端くれですから」と皮肉を込めて言葉を返した。

「弁護士?」会話を聞いていた千尋が訝しげに尋ねて来た。
「多分お前の祖父の遺産相続の件だ」
「……僕には遺産など必要ない」千尋は面識の無い人の遺産など欲しいとは思わなかった。
「必要ないから弁護士をたて相続放棄の手続きをする、いいな?」
「はい、お任せします」

いくら血の繋がりが無いとはいえ、戸籍上は叔父なのだ。
光輝はその男の嗜好など今は伝える必要は無い、と考えて宝田の嗜好には触れなかった。

「その日僕は大学があるので、終わったら直接向かいます」
「仁を迎えにやるから」
「そのホテルなら大学から近いですから大丈夫です」と千尋は迎えを遠慮した。
光輝も大学にヤクザ者が迎えに行くのは人目に触れ、千尋の為に良くないと考え直し、結局直接ホテルのロビーで待ち合わせる事にした。

約束の日、千尋は講義が終わると、時間に余裕を持たせゆっくりと大学を出た。だが出た所に黒いリムジンが停めてあった。千尋が横を通り抜けようとすると、後部座席のウィンドウがすーっと音も無く下げられた。

「千尋!」
「あっ……」
「良かった、会えた。弁護士の都合で場所が替わったのだよ」
「えっ?」
「豊川君から連絡は無かったのかい?」千尋は携帯電話という物を今まで持った事が無かった。いつも家に居る千尋に必要は無かったし、もしかしたら持ってない事を光輝も知らないかもしれないと思った。

「あ……僕携帯電話持ってないから」
「そうか良かった。丁度近くを通りかかったから、五分だけ待ってみようと思っていたんだよ」
「すみません」

「でも、もしかしたら迎えが来るかもしれませんから、ここで待っています」
光輝の事だ、場所が替わったのなら仁でも寄越すだろうと千尋は思った。
「では私が連絡とってあげよう」そういうと宝田は携帯電話を取り出し、プッシュした。
「ああ、豊川さん?宝田だけど、千尋君と会えたから僕が送って行くよ」その後二、三会話を交わし電話を切った宝田が「さぁ、これで大丈夫だ、乗りたまえ」と千尋を促した。
「は、はい……」光輝と話したかったと思ったが、千尋は黙って宝田に従った。

運転手が回り込み、後部座席のドアを重々しく開ける。
「失礼します」
「千尋……僕は君の叔父なのだから、そんな遠慮はしないでいいのだよ」
宝田は頗る機嫌が良かった。光輝を出し抜いた事と、千尋が自分の手元に居る事が……。

―――そして千尋は知らなかった。宝田の掛けた電話の相手がポケットの中で電源を落としたもうひとつの宝田の携帯だったとは。




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こんばんは、kikyouです。
更新が不規則になってしまい、申し訳ございません。
ご心配して下さり、コメントやメールありがとうございます。

夏バテ気味ですが、体調が悪いわけではございません。
リアルが忙しいのと、少々の夏バテとでパソコンに触る前に寝落ちしてしまう状態でして……

僕の背……は今後最後まで上げて行けるのですが、連載中の話が難しい状態です。
再投稿でランキングのポチを押して頂くのも、申し訳ありませんので、一度ランキングを抜けました。
記事が上がりましたら、新着には反映されますので、覗いて下さいね。

通常更新が毎日出来るようになりましたら、また戻りたいと思っておりますので
その時は応援お願い致します。
勝手申しますが、宜しくお願い致します。

また暑さが戻って来ました、皆様も体調には充分気を付けて夏を乗り切って下さいませ。


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-  2011, 08. 07 [Sun] 01:23

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-  2011, 08. 07 [Sun] 01:30

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-  2011, 08. 07 [Sun] 02:40

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